働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースについて、その概要、対象となる事業主、助成内容、成果目標、申請手続き、そして期待される効果をまとめました。
この制度の主な特徴として、以下の点が挙げられます:
- 労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に向けた幅広い取り組みを支援対象としています。
- 具体的な取組(研修、コンサルティング、規則の作成・変更、ソフトウェアの導入など)に対して高い助成率で支援を行っています。
- 事業規模や設備投資の有無によって助成率や上限額が変動し、小規模事業者により手厚い支援を提供しています。
- 賃金引き上げを行った場合の特例を設けることで、労働条件の総合的な改善を促進しています。
- 具体的な成果目標を設定し、その達成状況を確認することで、実効性のある取り組みを促しています。
この助成金制度は、中小企業・小規模事業者の働き方改革を推進し、労働環境の改善と企業の競争力強化を同時に達成しようとする重要な政策ツールとなっています。
概要
労働時間短縮・年休促進支援コースは、厚生労働省が所管する働き方改革推進支援助成金の一つです。この制度は、中小企業・小規模事業者が労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む際に、その費用の一部を助成することで、働き方改革の実現を支援することを目的としています。
対象となる事業主
以下の条件を満たす中小企業事業主が対象となります:
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 年次有給休暇の取得促進、所定外労働の削減等の労働時間短縮に向けた環境整備に取り組むこと
助成内容
1. 支給対象となる取組
以下の取組が支給対象となります:
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知、意識啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器の導入・更新
- 人材確保に向けた取組
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
2. 助成率
- 費用の3/4(上限額:100万円)
- 事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、4/5(上限額:150万円)
3. 特例(賃金を3%以上引き上げた場合)
上記の取組に加え、その所在地域内の雇用を維持し、賃金を3%以上引き上げた場合、引き上げ人数に応じて以下の助成額を加算
- 1~3人:15万円
- 4~6人:30万円
- 7~10人:50万円
- 11人~:1人当たり5万円(上限150万円)
成果目標
事業主は、以下のいずれかの目標を選択し、実施後にその達成状況を報告する必要があります:
- 年次有給休暇の取得促進
- 労働者の年休取得率が前年度比5%以上増加
- 労働者の所定休日労働時間数が前年度比5%以上減少
- 所定外労働の削減
- 労働者の月間平均所定外労働時間数が前年度比5%以上減少
- 労働者の月間平均所定外労働時間数が前月比5%以上減少
- 特別休暇の付与
- 年間の特別休暇の取得日数が前年度比5%以上増加
- 特別休暇制度を新規導入 など
申請手続き
- 交付申請:事業実施計画を作成し、管轄の労働局に提出
- 事業の実施:交付決定後、提出した計画に沿って事業を実施
- 支給申請:事業実施後、達成状況を確認の上、支給申請書を提出
期待される効果
- 労働時間の短縮
- 年次有給休暇の取得促進
- ワーク・ライフ・バランスの改善
- 労働生産性の向上
- 人材の確保・定着の促進
- 企業イメージの向上
この労働時間短縮・年休促進支援コースは、中小企業・小規模事業者の働き方改革を具体的に支援し、労働環境の改善と企業の持続的な成長を両立させるための重要な施策です。企業にとっては、労働時間管理の適正化や休暇取得の促進に向けた取り組みを行う際の具体的な支援となります。
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