人材開発支援助成金の概要と、特に「事業展開等リスキリング支援コース」について詳細にまとめました。主な内容は以下の通りです:
- 人材開発支援助成金の全体像(目的、主なコース、共通の支給要件)
- 事業展開等リスキリング支援コースの詳細
- 対象となる事業主
- 対象となる訓練
- 助成内容(経費助成、賃金助成、OJT実施助成)
- 訓練時間の要件
- 対象となる訓練の例
- 申請手続きの流れと注意点
- 事業展開等リスキリング支援コースの特徴と期待される効果
この新設されたコースは、企業の事業転換や新規事業展開を支援し、産業構造の変化に対応した人材育成を促進することを目的としています。特に、高い助成率と賃金助成額を設定することで、企業の積極的な人材育成を後押ししています。
1. 人材開発支援助成金の概要
人材開発支援助成金は、厚生労働省が所管する助成金制度で、企業の人材育成と労働者のキャリア形成を支援することを目的としています。この助成金は、事業主が雇用する労働者に対して職業訓練などを実施した場合に、その経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。
1.1 主な助成金コース
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース(新設)
1.2 共通の支給要件
- 雇用保険の適用事業主であること
- 年間職業能力開発計画を作成し、その計画に基づいて訓練を実施すること
- 職業能力開発推進者を選任していること
2. 事業展開等リスキリング支援コースの詳細
「事業展開等リスキリング支援コース」は、2023年度に新設されたコースで、企業の事業展開や新規事業の立ち上げに伴う人材育成を支援することを目的としています。
2.1 対象となる事業主
以下のいずれかに該当する事業主が対象となります:
- 事業展開等に伴い新たな分野で事業を行う事業主
- 新規事業の立ち上げを行う事業主
- 業況が厳しい事業主
2.2 対象となる訓練
事業展開等に伴い新たに必要となる職務に関する知識・技能の習得をさせるための訓練
2.3 助成内容
2.3.1 経費助成
- 助成率:
- 中小企業:75%(企業規模によらず)
- 大企業:75%(企業規模によらず)
- 助成上限額: 1人あたり50万円
2.3.2 賃金助成
- 助成額: 1人1時間あたり1,500円
2.3.3 OJT実施助成
- 助成額: 1人1時間あたり950円
2.4 訓練時間の要件
- OFF-JT: 20時間以上(海外の大学院、大学、教育訓練施設などで実施する訓練の場合は30時間以上)
- OJT: 10時間以上 ※OJTの実施は任意
2.5 対象となる訓練の例
- デジタル技術を活用した新たな製品・サービス開発に関する訓練
- 海外展開に必要な語学や異文化理解に関する訓練
- 新規事業立ち上げに必要なマーケティングや財務管理に関する訓練
- 環境配慮型製品の開発・製造に関する訓練
- 新たな販路開拓のためのオンラインビジネススキル習得訓練
2.6 申請手続きの流れ
- 訓練実施計画の作成・提出(訓練開始日の前日から起算して1ヶ月前まで)
- 訓練の実施
- 支給申請書の提出(訓練終了日の翌日から起算して2ヶ月以内)
- 助成金の支給
2.7 注意点
- 事前に計画届の提出が必要です。
- 訓練内容が事業展開等に伴い新たに必要となるものであることを示す書類の提出が必要です。
- 業況が厳しい事業主の場合、売上高等の減少を示す書類の提出が必要です。
3. 事業展開等リスキリング支援コースの特徴と期待される効果
- 事業転換の促進: 新たな分野への事業展開や新規事業の立ち上げを人材面から支援し、企業の事業転換を促進します。
- 高度な人材育成: 専門的・技術的な知識やスキルの習得を支援し、高度な人材の育成を図ります。
- 企業の競争力強化: 新たな事業分野に対応できる人材を育成することで、企業の競争力強化につながります。
- 雇用の維持・創出: 事業展開や新規事業立ち上げを通じて、雇用の維持・創出に寄与します。
- リスキリングの推進: 既存の従業員のスキルアップや職種転換を支援し、リスキリングを推進します。
- 産業構造の変化への対応: デジタル化やグローバル化など、産業構造の変化に対応した人材育成を支援します。
事業展開等リスキリング支援コースは、企業の事業転換や新規事業展開を人材育成の側面から支援し、産業構造の変化に対応した企業の持続的成長と労働者のキャリア形成を同時に促進する重要な施策となっています。
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